第3話

 お城を抜け出した白雪姫――あおいは森の近くに建つ、小さいながらも立派な神社の前にやってきました。

 「こんらっどのおじさ〜ん」
 「おお!!これはこれは白雪姫!ご機嫌麗しゅう・・・・」
 「もう!そんな堅苦しいあいさつは抜き!あおいでいいって」
 「そうかそうか・・・ところで、ここにきたということは、やはり・・・」
 「そう!SDの森に入るから御払いして!」
 「国王はこのことは・・・・・」
「大丈夫!いざとなったらお父様のヒ・ミ・ツ・ばらしちゃえばいいんだし〜」
 「あいかわらずの策士ぶりですね・・・・」
 「とにかく〜〜、急いでいるから、早くネーヤ呼んで!ね!」
 「わかったわかった・・・・・お〜い、アンジェ〜!御払いやるからしたくしなさ〜い!」
 「は〜い・・・・・・・」

 そんなわけで、この神社の神主の娘で、第225代目のスフィクス、(通称ネーヤ)であるアンジェの御払いを受けたあおいは一路、SDの森を目指して勇ましく出発したのでした。


  一方、お城では白雪姫を探すために国内のみならず、近隣諸国から大勢の貴族、富豪の御曹司達が集まっていました。彼らはみな白雪姫の噂を聞き、かねてから交際を申し込んでいた者ばかりでした。その参加者のなかの一人の男が近くにいた青年に声をかけました。

 「こうじく〜〜ん」
 「・・・・やっぱりイクミか・・・」

 昴治と呼ばれた青年が仏頂面でイクミと呼んだ男に振り向きました。昴治は隣国の完全平和主義国家「アイバキングダム」の現女王の嫡男、そしてイクミは尾瀬財閥の御曹司でありました。二人は親同士のつながりから、互いに顔見知りでした。

 「やっぱり昴治君来ると思ったんだ〜♪だってきみかわいこちゃんにはめがないっしょ〜?
 いや〜やっぱりおんなのこはかわいくてやさしくてきだてのいいこにかぎるよね〜
 それに白雪姫って言えば〜お姫さまなのに炊事洗濯お裁縫なんかもできちゃう、も〜〜まさに才色兼備!てやつ〜?
 う〜ン、まさに俺好みなんだよね〜〜(^〜^)」

 「・・・・それを言うなら良妻賢母じゃないのか?(−−)」
 「ま〜いいジャな〜いそんな細かいこと気にしなくても"(~~)"ところで弟君は?来ているんでしょ(^_^)」
 「・・・ああ・・・・(−−)」

 ちからなく返事をした昴治は、彼の弟で「アイバキングダム」の防衛部隊長も兼ねる祐希の方を見ました。
 彼は周りの人間の群れから離れ、人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべていました。

 「(ふん!こんな無能な奴らがいくら束になったところで虫の一匹も取れやしねぇ・・・・所詮、この世は実力が勝る者が生き残ることを証明してやるぜ!)」

 祐希は兄に比べたら能力は上でしたが、我が道を行く性格が災いして国民の人気は今ひとつでした。
 そのため彼はいつも不愉快な思いをし、その不満の矛先を兄に向けていたのでした。

 「(もしこれで俺が白雪姫を見つけ出せば当然彼女と結婚、そしてゆくゆくはこの国の王!イヤ、今の国王をさっさと蹴落として国の勢力を拡大させてチタニア以上の巨大国家を作り上げる!)」

 祐希は自分の野望に燃えていました。

 こうして、白雪姫を巡る陰謀の数々のドラマの幕が切っておとされたのでした。