第5話

 道に迷ったあおいは最初のうちは森のあちこちをさまよっていましたが、そのうち疲れ果ててとうとう座り込んでしまいました。

 「せっかく・・・ここまできたのに・・・こうじ・・・あいたいよう・・・・・」

 森の中でグスグスしていたあおいの後ろに、いつの間にやら黒い影が二つ迫っていました。

 「とうとう見つけたぞ、白雪姫!」
 「こいつを捕まえりゃ俺たち一生お城で贅沢三昧だ!」
 「その前に、ちょっとお味見・・・」
 「うひひひひひ・・・・・・」

 その男たちは、ヘイガーによって洗脳された捜索隊のメンバーでした。
 彼らはヘイガ―によって『白雪姫をいかなる手を使ってでも拉致してくるように』と言う命令を受けていました。
 さらに成功したものにはヘイガ―の愛の贈り物を,失敗したものには愛の鞭を受けるというおまけ付きでした。

 「それでは早速・・・」
 「いざ!白雪姫,覚悟!」
 2人の男はあおいめがけて飛び掛って行きました。しかし・・・

 「うわあああああん!こ〜〜〜じ〜〜〜!」

 突如として泣き出したあおいの絶叫振りに,思わず圧倒されてしまいました。

 「なってでかい泣き声なんだ!!」
 「ひるんでいる暇はないぞ!!」

 二人組みは再びあおいに飛び掛っていきました。しかし・・・

 「きゃああああ!!!!!! 変態!!!!!!!」

 驚いたあおいは、思わず男たちにブレーンバスターと、懇親の力をこめた鉄拳を食らわせてしまったのでした。

 「うわあん!! こうじ〜!!!わたし汚されちゃったよ〜!!!」

 男たちをぶっ飛ばした際、跳ね返った泥のおかげであおいの服は台無しになってしまいました。
 そして、泣きながらその場を去った後には、二人の男が無残にも転がっていたのでした。


「うぐっ・・・えぐっ・・・こうじ…会いたいよう……」

 夕日がとっぷり暮れた後…
 あおいは森の中をいまださまよっていました。
 男二人組みに襲われたショックで森中をめちゃくちゃに走り回り、帰り道を完全に見失っていたのです。

 「アレ?……明かりが見える……」

 前方には明らかに民家とおぼしき建物が建っていました。
 しかもそこから光が漏れる窓からは、明らかに人影がうつっていたのでした。

 「誰かいる!……よかった…何とか助かった」

 あおいは嬉々としてその建物に近づいていきました。
 そこに住む住人の正体も知らずに……