第4話 陰謀の糸とマリオネット

 

  「あ〜あ・・・どうしてこうなっちゃうのかな・・・(´ヘ`;)ハァ」

 あおいはため息をつきながら、隣の二人を見た。

  「あおい先生!よかったですね!v(=∩_∩=) ブイブイ! 3人とも即採用で!」
  「私たち!一生懸命お手伝いいたしますから、d(^-^)ネ!」
  「・・・・・わかったから、くれぐれも無茶だけはしないでね(;-_-) =3 」

  「は〜い、わかってま〜っすp(#^▽゜)q o(*⌒O⌒)b」

 ――――― ここはブラティカサーカス団の団長室のあるテントの一角。
 今回の団員募集では3人を含めて約10人ほどが採用され、現在この室内で団長であるルクスン北条の出番を待っていた。
 ・・・・・・・というより、当の本人がなかなか現れず、ほとんどの人間が待ちくたびれていたのだった。

  「やぁ\( ̄▽ ̄o)(o ̄▽ ̄)ノ!諸君!ずいぶんお待たせしてしまったな!  」

 ようやく現れた彼は、白のタキシードに白のシルクハットという出で立ち。
 しかも彼の三枚目的なキャラクターを損なうことのない、見事なまでの着こなし振りである。
 ただし、衣装のあちこちがほころんでいるのが玉に傷なのだが・・・・・
 そして挨拶もそこそこに、彼はこのサーカス団について長々と演説をはじめ出した。

  「え〜、そもそも、このサーカス団は『北条雑疑団』として旗揚げし・・・・・・
  (このあと約1時間ほど演説は続いたらしいです。^^;ネタが思いつかない&めんどくさいので中略)
  ・・・・・というわけで、君たちには今夜から早速ステージに上がってもらう!」

 「え〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!Σ('◇'*)ッ!?」

 (ルクスンを除く)テントの中にいた者全てが絶叫した。
 当たり前である。
 採用された当日にいきなりステージに上がれ、なんて普通の人間なら絶対に言わない。

   「そんなこと言ったって、一体何をすればいいですか?
  俺たちは今日採用されたばかりでまだ右も左もわからないいですよ!?」

 採用者の一人である青年が叫んだが、ルクスンは動じることもなく自信満々に答えた。

  「きみたちにやってもらうのは・・・「着ぐるみマジックショウ」だ!
  どうだ、凄いだろう〜(( ̄( ̄一*( ̄一* ̄)一* ̄) ̄))」

 ひとり、満足そうににやけてるルクスンに対してまわりの者は意気消沈・・・

  「え〜、本日新しく仲間になった者の中に、優秀な艶・・・・もといエンタ―テナーがいる!
  そのものをマジシャンとしてだな、残りのものが着ぐるみダンスを踊りながらアシスタントをする!
  どうだ!良いアイデアだろう!なぁ、諸君!!!」

  「・・・・・・・そのマジシャンというのは誰がやるんですか?」
  「それはだな・・・・そこの君だ―――!!!」

 ルクスンが指差した先にいた人物とは・・・

  「えっΣ (*゜ロ゜)ノ・・・あっ!あたし!!!・・・ですか?」

 その人・・・・蓬仙あおいはことの成り行きにただ呆然とするだけであった・・・・


  「・・・そろそろ到着か・・・」

 昴治は腕時計で時刻を確認して、到着ゲートに向き直った。
 あれから本部ビルに戻った昴治は、上司命令で今日ニューヨーク本部の出張から帰るヴァイタルガーターチーム=通称V.Gのメンバーの出迎えと護衛のため、ここ成田空港にやってきたのである。
 ファイナは本部でお留守番である。
 (その際に昴治から彼自身の仕事を押し付けられた挙句、本人の尾行にも失敗してまさに踏んだりけったり。現在リベンジ思案中)

 「ヤッホー!!(ノ^∇^)ノおにいさま〜」

 ゲートからVGチームの紅一点、カレン=ルシオラの元気な声が聞こえてきた。
 そして・・・・・・

 「ウオオォォォー!ε=ε=ε=ε=(|||ノ`□´)ノ!あ〜〜に〜〜き〜〜!!!!!!」

 ゲートからこちらに凄い勢いで向かってくるのは、昴治のひとつ下の弟・相葉祐希である。

  「祐希!!!!====ヽ(*⌒∇^)ノ♪」

 昴治は大きく両手を広げて弟を迎える。
 いや、身構えている。

  「会いたかったぜ〜!!!」←昴治に向かって跳び蹴り炸裂
  「俺もだよ!!!!」←祐希の足をつかみジャイアントスイング
  「へへ!やめろよ〜〜」←手荷物を昴治に投げつけひるんだところを一本背負い
  「はは・・・・くすぐったいじゃないか〜」←そのまま祐希を取り押さえ卍固め

 ――― 10分後、この二人の戯れ(らしい)の中に白い物体が投げつけられて爆発 

  「やっぱり コレを見ないと調子が出ないのよネェ〜ρ(´ー`)」

 炸裂弾を投げた本人、カレンはこともなげに答える。(ちなみに当の二人は3秒後に復活)

  「いつみてもすげぇな・・・・( -.-) =з」
  「最悪だ・・・あの兄弟・・(ーー;」

 少し離れた場所で残りのメンバー、ラリー=イェーガマルコ=バウルは呟いた。

 

  ――――――  相葉兄弟 ――――――
  彼らの史上最悪といわれる兄弟喧嘩はいまだ決着がつかず今日に至る。
  その原因は当の本人たちも忘れているのだから始末が悪い。
  その上彼らを止められるのは母親と幼馴染のあおいと同僚のファイナとカレンだけなのだから世も末なのであった・・・・・

 

  「・・・・・あのさ、リーダーはどうしたの?また別便?」
  「そうなのよ!まったく。ファーストが取れなかったからってさぁ。
  祐希だってビジネスで我慢してるのよ!
  だいたいあいつ自分勝手すぎるのよ。
  都合の悪いことや面倒なことは全部人に押し付けて、おいしいトコだけ全部
『自分の手柄です』みたいなこといってさぁ・・・・・
  ホントにムカツク!!!!凸(`、´メ)」

 助手席に座るカレンは日ごろの不満を爆発させた。

  「・・・ほんとに俺もそう思うよ」

 昴治はハンドルを握りながらカレンの意見に同調した。
 昴治たち4人は新宿に向かう車中にいる。
 祐希は空港まで自分のバイクで来たのでこの場にはいない。

  「・・・それにしてもこの渋滞何とかならない?」
  「事故った奴に文句言ってくれよ。」

 車は高速に入ってすぐに事故渋滞に巻き込まれ、今ごろ新宿についておかしくない時間なのにまだ宮野木あたりにいた。

  「こうなったら次のインターで降りるしかないか・・・・・」

 昴治の言葉に3人は一斉に蒼ざめた。

 

  「・・・・・・まったく、こんなときに渋滞にはまりやがって!!!」

 一方、祐希は愛車『ブレイブカスタム・ゼロ』にまたがり既に外苑付近に到達していた。
 その横を一台のハイヤーが通り過ぎた。

  「なにっ!!!!!!あいつ・・・」

 後部座席に乗った人物の顔を見て祐希は驚きを隠せない。

  「(確か、あいつは別行動のはず!)」
  「おい!なにやってるんだよ!とっくに信号青だろうが!」

 後ろにいたトラック運転手に怒鳴られて慌ててアクセルを踏んだ。

  「(畜生!いったいどうなってやがる!)」


 一台のハイヤーがブラティカサーカス団に横付けされ、一人の男がそこに降り立った。
 彼はそのまま執務室のあるテントに向かって歩き出した。

 

  「早かったな、グラン」
  「ああ、思ったより楽に事が運んだからな」

  そう言いながら、グラン=マクダニエルはイクミに数枚のディスクを渡した。

  「これが今回NY本部で入手したVPのデータ。『青』 は既に完成しているそうだ。」
  「こっちにある『緑』   『山吹』   『黒』あわせて3つ・・・・・・・あとは   『深紅』の完成を待つだけか。」
  「・・・・・『灰』のほうは?」
  「そっちはどうでもいい。とにかくその5つだけでも手に入れて、完成させなければならない。あの悲劇を繰り返さないためにも!」

 そういってイクミは力強くこぶしを握る。

  「ずいぶん早い到着でしたね。グラン=マクダニエル」

 部屋に入ってきたヘイガーの挨拶に、グランは得意げに答えた。

  「緊急の用事があったからな。到着地を成田から羽田に変更したまでだ。」
  「素晴らしいまでの職権乱用振りですね」
  「おいおい、特権というものは使うためにあるもんだぜ」

 グランは悪びれずに言い放って、席を立った。

  「俺は一旦本部に戻る。何かあったら連絡する。」
  「わかった。それと今ここに蓬仙がいる。」

 その言葉を聞いたグランは意味ありげの笑みをこぼした。

  「そうか・・・じゃあ、お互いのために顔ぐらい見せておくか」
  「そうしてくれ。そのほうが疑われなくて済む。」

 グランが出ていったあと、ヘイガーがイクミに歩み寄った。

  「はたして、あの男は信用できるのでしょうか?」
  「今は泳がせておけ、そのうち切り捨てる。」
  「わかりました。それとルクスンのほうは?」
  「もう頃合いだ。お前の好きにしろ」
  「わかりました。ではホテルに予約を・・・・(^^_)♪」
  「(何か違うぞ!ヘイガー・・・(ーー;)」

 そう思っても口に出さないイクミであった。